【new】もとはしさんちプロジェクト「日だまり野」
地域と環境とつながる住まい ーコモン機能を備えた賃貸住宅プロジェクト
東京都日野市。実家である既存の住宅と庭を活かして共同住宅をつくりたい、そして地域の人達にも使ってもらい交流できる場としたい、という家主の思いのもと、福祉関係、コレクティブハウス関係、行政等の多様な主体が、話し合いやワークショップを重ね数年かけて構想してきたプロジェクト。
弊社が設計を担わせていただき、賃貸住宅4世帯「ハウス日だまり野」+まちに開く共同のスペース「まちのコモン」+菜園を備えた建物となりました。

中間領域のデザイン ー住まい+コモンスペース+菜園
隣接して住む家主と賃貸住宅の住人とが、ほどよい距離感を持ちつつ近隣の人たちとも交わりながら、豊かな暮らしを共につくっていくには。プライベートを保ちながらも、緩やかにつながりあい、安心して暮らせる場とは。これらをテーマに設計を進めていきました。
2階には住人同士が使える共有の中間領域(ラウンジ)を設け、住人がそれぞれ部屋を持って暮らしつつ、互いのコミュニケーションをそっと後押しする小さな仕掛けとしました。
1階は、地域に開かれた場「まちのコモン」スペース。共用のキッチンや水回り、事務所関係を側面に配置し、道路と庭をコモンスペースでダイレクトに接続するという空間構成にしました。前面道路から庭の緑が視界に入るようにしています。
寄付を広くとり、家主がこれまで開いてらしたプチマルシェ等ができるスペースとしました。コモンから庭におりる場所にも土間的なスペースをつくり、内部と庭をつなぐ役割を担います。
これら中間領域で何をするかは、住人や関わる方々のアイデア次第。このような内でも外でもない、セミオープンな曖昧なスペースが暮らしに余白をうみ、可能性を大きく広げると考えます。
屋外とのつながり ー働く場・庭とキッチン・外トイレ
農的暮らしを念頭に、家の内外に「働く場」を置くことを意識しました。
庭とキッチンの接続もポイントで、外から入れる納戸を設け、納戸からキッチンへとつながる動線をつくりました。また、外仕事をしていると、いちいち靴を脱いで家に入るのは大変ですから、靴を履いたまま使える外トイレも設けました。
パッシブデザイン―南北の通風と庭
太陽の光、風の通り道、外から取り込む緑の仕組み、そうした自然の力をうまく使いながら、できるだけ化石エネルギーの消費に頼らないことを心掛けました。
大きなポイントは、南北に風が抜けることです。南北面を大きな開口部とすることで、開け放てば風がよく通ります。また、南側の大きな庇は、夏場の日射を遮蔽し、冬場は太陽の光が奥まで入ってきて床で熱を蓄え、暖かい空気が生まれます。
素材―杉の現し、西川材、内装制限
各住戸の広さは27㎡弱、2階の住戸は天井が高く、天窓を設置したので広々とした感覚が生まれます。内装はふんだんに天然木を用い、柱や梁などの構造材を壁や天井で隠さずそのまま露出させる「木の現し」にしています。木の現しには手触りや温かみがあり、傷がついてもなじみ、調湿効果も期待できます。「地域の自然素材を地元で」という考えから、飯能の西川材(杉)を使っています。
昨今は、木材店や職人の手を通してつくることが少なくなり、大工さんは今後10年程でさらに半減するとも言われています。木を扱える職人がいてこそ、この種の建築は成り立つ。私たちも、こうした職人さんと協働しながら、木の建築の仕事を続けていきます。
太陽熱を使う仕組み ―そよ風
自然の力を使う仕組みとして、〈そよ風〉という仕組みを入れています。屋根は板金でできていて、冬でも太陽の光が当たると表面が50度程になるので、その熱で暖めた空気を床下へ送ることで、冬期の足元の暖かさと暖房負荷の低減を狙います。ごく小さな電動ファンは使いますが、電気やガスに頼りきりにはせず、電気の使用をできるだけ抑えようという考えです。
多様な主体との協働で社会を支える
以下の多様な主体と、補助金等様々なリソースが有機的につながりあいながら、今後ますます社会課題としてあぶりでてくるだろうものの、今は対策が進んでいない暮らしの課題、実家じまい、血縁を超えた暮らし方、高齢者の居住支援、住まい承継の仕組みづくり等に通り組んでいきます。
・高齢者の住まいの問題に取り組む「株式会社 こたつ生活介護」
・自分の生活は自立しつつ、血縁にこだわらない人間関係の中で暮らす住まいの実現に取り組む「NPO法人コレクティブハウジング社」
・高齢者や子育て世帯の住まいと暮らしの困りごとを解決にみちびく居住支援事業の「一社)住まいと暮らしの相談室」
・空き家問題に取り組む日野市の都市計画課、地域にネットワークをもつ日野市社会福祉協議会、
・実家じまい、住まいの終活伴走の「キロク製作所」
・農薬や化学肥料を使用しない庭づくりの「ひきちガーデンサービス」





