ワタミオーガニックランド1期工事(飲食棟、温室他)@岩手県陸前高田市
岩手県/陸前高田で進めている「ワタミオーガニックランド」。
数年をかけ、農場と施設と循環型の仕組みを備えた場を作っていく計画の1期工事(飲食・休憩棟、インフォメーション・トイレ棟、温室)が竣工しました。
農園にふさわしい形態を模索する中で、農村地域で見られる、簡素なつくりながらも通風や採光などの機能性が高い牛舎や鶏舎の建築形式をモチーフとしました。
フレームは、地域の材を使った木製フレーム。地場木材の活用と汎用性のある部材を活用し、地元の職人さんがプレカット工場を頼らず、自社で加工できる技術で組立てができることを念頭に設計しました。プレカット技術が発展する前の技術「ホゾキリ」や「角のみ」、現在でも汎用性のある「インパクトドライバー」や「丸のこ」などの木工機械があれば組み上げることが可能で、パイプ製の農業ハウス同様、農家さんが自力で修繕できたり、地場の大工さんが自社のみでも施工できる仕立てとしています。また大きな空間を形成し、多様な用途に転用できるよう、トラス構造を採用しています。木造の骨組みのリズムが空間を引き立てます。
今回の増築工事により、中央の中庭広場からは背景の山並みと建物が一体となり、場内の落ち着き感が出てきました。建物外周面をビニールハウス用の透明な部材で構成したことで、夕刻からは全体が行燈の様に佇み、夜の景観を整えることにもなり、あらたな街のシンボルとして、地域からも認知されることを期待しています。
(設計協力 パートナースタッフ STUDIO KAMUNA一級建築士事務所 角田麻夫)