【new】みなかみの家
農と暮らしの風景をつくる古民家の骨格を受け継ぐ家
群馬県みなかみ町。利根川が近くに流れ、谷川岳を望み、山の稜線と里山の風景が日常の背景となる場所に建つ住まいです。本計画では、古い建物の構造材を利活用し、風土、農的な営み、ランドスケープ、環境技術、地域素材の循環までを含めて、ひとつの住環境として再編することを目指しました。

農と風景を住まいに織り込む
この住まいの設計主旨は、農的な暮らしと住まうことの融合にあります。広縁や温室など、中間領域をたっぷり設け、建物の内部から、庭や畑、周辺のランドスケープへと連続する構成としました。
仲間と集う開かれた場所と私的な場所、明るさと陰影、賑わいと静けさ、季節や時間の変化など様々な状況や変化に応じることができる重層的な空間構成としました。
また、ランドスケープとの一体性を重要なテーマとしています。外構の石積みは、建物の外壁の石積みと視覚的につながり、建て物が地形から立ち上がってくるように感じられる計画としました。
素材の利活用と循環
既存建物を丁寧に解体し、構造梁材を再利用することで、建物が持っていた時間の蓄積を新しい住まいへ引き継ぎました。また、既存建物の土壁は解体後、新しい土壁の材料に混ぜ込んでいます。解体した材を廃棄物として処理するのではなく、建物にストックされた資源として捉え、次の空間へと循環させています。また、木、瓦、石には群馬県の素材を用い、運搬による環境負荷の低減や、地域の風景の継承につながる地産地消の建築を目指しました。
風・熱・光を取り込む環境設計
みなかみの風土に応答するパッシブデザインを組み込んでいます。建物中央を南北に抜ける風道が、利根川沿いを流れる風や山からの季節風を建物内に季節風を取り込み、入口のいぶし瓦ルーバーは水分を含んだ瓦に風が触れることで気化熱を生み涼風を導きます。中央の円筒形階段室は人の動線であると同時に、風と設備の通り道としても機能し、腰屋根による重力換気とあわせて空気の循環を生み出します。南側の広縁は冬の日射を受ける蓄熱の場となり、東側の温室は農的な機能に加えて暖気を居住空間へ送る役割も担います。さらに石積みは、周囲の景観との一体性に加え、断熱や蓄熱によって建物まわりの微気候を整える環境装置として計画しました。寒冷地であるみなかみにおいて、石が熱を受け止めて放熱することは、建物際の微気候を安定させ、果樹などが育ちやすくなることも意図しています。











