日本の伝統 / 地産地消の家づくり

気候風土から生まれる住まい

地産地消の家づくり
地域の力も育む

「地産地消」は主に食材について言われる言葉ですが、建物にもあてはまります。近くで採れる材木や再生可能な循環型の資源で家を作ることで、環境にも良い影響を与え、森や地場産業が活性化される、地域経済が小さいながらも廻る、ということが見えてきます。遠方からの運搬エネルギーを抑えるという効果もあります。大事なことは、グローバルな経済の論理ではなく、地域の小さな循環のなかで成立する、という姿勢です。

風土に根ざした美しい風景もまた、そうした取り組みの積み重ねの結果、長い年月をかけて培われていくものです。

住環境は、機能、技術、安心感、住まい感、すべてが美しく、調合され、融和するべきです。風土のなかで自然に培われてきた住まいは、環境と調和し、整合性のとれたデザインとなっていました。それが美しい町並みや農村の風景を創り出していたのです。その地域ならではの美しい風景は地域の資産となり価値となります。

木を組むという伝統的な構法
地震にも強いしなやかな構造

四季が豊かで、地震や台風などの自然災害も多い中で、長年培われきた家作りの技術は、学ぶべき知恵の宝庫です。

私たちは、民家の伝統的な構法を手本に、木組みの家づくりを行っています。しっかりとした構造が見える、あらわしになった梁や柱。地震にもしなやかに耐え、復元力の高い貫の入った壁。「安く、早く」の大量生産の家作りに押され、消えつつある日本の伝統的な構法ですが、昨今、その耐震性が見直され、再び評価が高まっています。

また、伝統構法と合わせて採用したいのが、昔ながらの竹小舞/土壁のつくり方です。温熱環境や室内環境の視点からみても(温熱環境の項目参照)とても価値のある、また長らく使い続けることができる生命力のある家づくりが実現します。

また、木を組む構法は、必要以上に金物に頼らず、くさびや栓といった木材同士を留めつける要素として使っているため、解体して再利用することが可能です。現代の工業製品は消費し廃棄する、と言うサイクルの中でしか成立していませんが、こうした木組の構法は現代にこそ必要な循環型の仕組みであると言えるでしょう。

森も地域も元気にする
近くの山の木で家を建てる

国産あるいは地域産の無垢材のメリットについては、住まい手の健康という側面で既に述べましたが、日本の森林産業を維持して行く、という視点もとても大切です。

私たちは「地産地消の家づくり」を基本に、国産材はもとより、できるだけ建物が建つ地域の地場産材の活用を心掛がけています。一見自然がないように見える東京都でも面積の実に約3割は森なのです。自分の住んでいる土地になるべく近い森の木を選ぶことで、地元の林業を応援し、輸送などにかかるエネルギーやコストを抑えることができます。また、森は命の源泉です。私たちに必要な空気や水を育む場所でもあります。

いま、日本の林業は大変厳しい状況です。山をめぐる様々な問題を建て主の方にご理解頂くために、地域の製材所へ見学にお連れしたり、ご自分の家に使用される木の背景をご紹介する機会も設けています。木の適正な価格や価値をお伝えし、地域に貢献する小さな経済循環も生み出す事ができればと思っています。

ただし、森と一口に言っても、国内の多くの森林地を構成するいわゆる、杉、檜が植っている人工林だけでなく、天然林、原生林などがあります。杉、檜は言ってみれば樹木の畑ですから、本来生物多様性をもっているのは天然林、原生林のような多様な樹種が混在している森です。私たち人間は農耕以前は、森の文明を育みより密に自然との関係性を豊かに築いていた、と考えられます。

この環境の時代においては、「森の文明」に立ち戻ることも必要であると考えられます。そうしたことも見据えながら、住まいづくりとどう言う関係性を持てるか、を考えていきたいと思います。

以下参考:
国産木材自給率約3割弱
国内の木材成長量:約9000万㎥/年
毎年使用されている国産木材の量:約1900万㎥/年
森にストックされているか、切って捨てられている量:約7100万㎥/年

地域の職人さんとつくる
地場の経済にも寄与

家づくりは本来、地元の職人さんと一緒になってつくる地域の生業でした。大規模生産や大量生産といった造り方とは本来なじまないのです。

住まいづくりはできれば、地元の職人さんたちと一緒につくりたい。地元の材料を使いながら、小さな循環のなかでつくるのが理想的だと思います。地域でつくることは建設費の経済も地元で回る、ということになります。

ですから、地域の気候風土、生業とあいまった建築技術を今一度掘り起こし、大事にしながら地域性を育くむことができればと思います。

そうした役割を担うことができるのは、その地域に根をおろして活動する、大工さんはじめ、各専門の職人さんたちなのです。

ビジョンを構成するコンセプト

木の家 / 自然素材の家づくり
省エネで快適な暮らし
日本の伝統 / 地産地消の家づくり
コミュニケーションを生む場づくり
農的暮らしとパーマカルチャー
循環する場の創造
木の家 / 自然素材の家づくり
省エネで快適な暮らし
日本の伝統 / 地産地消の家づくり
コミュニケーションを生む場づくり
農的暮らしとパーマカルチャー
循環する場の創造