木の家 / 自然素材の家づくり

土から生まれやがてまた土に還る
環境と循環し、住む人の健康を守る自然素材の住まい

住まい手と環境にやさしい木の家

近年、自然の素材や環境に対する影響に関心が向くようになったのはよいことだと思います。が、残念ながら、単に木を使うだけで「木の家」と称している例も少なくありません。

「木の家」はその素材をどこから調達するか、どう使うか、どう造るかまで含めた総合的な価値としての家づくりです。そのような風土と環境と地域とつながる家づくりを「木の家」と呼びたいのです。 木の家には、長い年月をかけて積み上げてきた知恵と技があります。地域にある自然の素材と資源で、地域の職人さんと一緒につくることができます。連綿と受け継がれてきた伝統技に現代の知見と技術をうまく接ぎ木しながら、現代の「木の家」を育てていきたいと思います。

地域でとれる無垢の素材
素材が呼吸している心地よさを、そのまま使う

自然素材でつくる家の主役はまさに、「木」です。

日本の国土のおおよそ7割近くが森林に覆われているのですから、その資源を活用して家をつくる、というのは理にかなっています。

私たちは、表面だけ木のシールを貼付けたような「木のようなもの」ではなく、本物の木材に囲まれて暮らしていただきたい、と考えます。そのため国産の無垢の材、できればその住まいが建つ地域でとれる材を使うようにしています。

残念ながら一般的な住宅市場で扱われている「木の家」は、遠く海外から運ばれてくる「外材」を使用していることも多く、そこには防腐剤や、集成材の接着剤などの化学物質への不安もあります。

無垢の木には、調湿作用という利点があります。高温多湿の日本の気候では、湿度と上手くつきあうことは大切な知恵です。無垢の木の家に一歩足を踏み入れると、まるで家全体が呼吸しているような心地よさに包まれる、というようなお話を私たちが設計をお手伝いする住まい手の方からもよく聞きます。

工業製品である新建材に慣れてしまった現代の感覚では、無垢の木は傷がつきやすかったり、割れが生じたりと一見デメリットと感じられる面がありますが、お住まいになる方の健康や環境への影響を考えると、それを補ってもあまりまる利点があります。

例えば、無垢の床は、足へのあたりも優しく疲れにくい。合板のフローリングなどに比べて熱伝導率が低いため、ひんやりしにくいという特性もあります。

土壁、漆喰、自然素材系塗料
安心して深呼吸できる、空気のこと

大量生産になってしまった現代の家づくりでは、工事とコストを「合理化」するために、壁などの内装の多くにビニールクロスなどの「新建材」が当たり前のように使われています。安価で施工しやすい反面、可塑剤や防虫剤などのVOC類(揮発性有機化合物)の有害性も指摘され、シックハウス症候群や化学物質過敏症などを引き起こすリスクがあるのです。現在、新築の家では「24時間換気」の装置を設置することが義務づけられていますが、そもそも強制的に換気をしなければ安全に暮らせないような現在の家作りに問題の本質があるのではないでしょうか。

そのような新建材を極力使用せず、安全性が確認された自然の素材を積極的に使用したいものです。壁は調湿作用にも優れた伝統的な土壁や漆喰、塗装には天然の素材でできた塗料、床材や柱には無垢材の特性を妨げない植物性のオイルを使います。最近は自然素材系の塗料もさまざまなバリエーションがあり、色や質感など、デザイン性とも両立できます。

また、安全性の高い自然素材系の塗料は、素人でも扱いやすいため、住まい手自身がメンテナンスできるというメリットもあります。ビニールクロスなどの新建材は、新築時はきれいですが、後は薄汚れていく一方ですが、本物の自然素材でできた家は、古びても時間とともに味わいが増していきます。

循環系の材料
自然の大きなサイクルのなかで素材をいかす、ストックする

地域で採れる自然の無垢の素材を使って建てられた家は、たとえその家が壊されることになっても、容易にリサイクル、リユースすることができます。かつての民家は何度も同じ材料で建替えることができました。大工さんの架構技術がそれを可能にしていたのです。

構造材としての役目を終えた後でも、板材として、そのあとは燃料にして熱エネルギーとして回収し、残った灰は最後には大地に戻っていく、という大きなサイクルのなかで活用されていました。

今では茅葺、藁葺きの屋根は少なくなってしまいましたが、それは資源を屋根の上にストックしておくという意味でもありました。二、三十年に一度のサイクルで、屋根を葺き替えますが、それらをゴミとして捨てるのではなく、堆肥や牛馬の餌として再び活用される貴重な資源でした。

土壁の土も、再び土壁として再利用が可能ですし、土にも還ります。

自然は常に「流れて」います。鴨長明は、「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」と書きました。また生物学者の福岡伸一さんは、生命の本質を「動的平衡」と言っています。つまり、自然界は常に、エネルギー、空気、水など生命が必要とするものが流れていて、それを固定化する植物があり、それを摂取して生命としてストックする、という仕組みで形作られています。その「フローとストック」の仕組みが連綿とつながることで生態系は形作られているのです。

住まいを構成する基本的な原理も同じだと考えます。住まいの中に、素材、エネルギー、水、空気を「流し」、「ストック」しながら使っていく。住まいもまた生態系の一部なのです。

ビジョンを構成するコンセプト

木の家 / 自然素材の家づくり
省エネで快適な暮らし
日本の伝統 / 地産地消の家づくり
コミュニケーションを生む場づくり
農的暮らしとパーマカルチャー
循環する場の創造
木の家 / 自然素材の家づくり
省エネで快適な暮らし
日本の伝統 / 地産地消の家づくり
コミュニケーションを生む場づくり
農的暮らしとパーマカルチャー
循環する場の創造