東京都世田谷区大蔵地区。仙川と野川に挟まれ、国分寺崖線の緑地帯が広がる穏やかな場所で進む、新しい暮らしの場づくりのプロジェクトです。

大家さんが代々引き継いできた、地域の人々に親しまれてきた土地が、都市計画道路によって2つに分断されてしまったことをきっかけに始まりました。
まちの記憶を引き継ぎながら、新たな風景となる場所を目指すという大家さんのビジョンのもと、土地の記憶の継承や100年後の風景、子供が育つ場を見据え、持続的な経営方法まで含めて7年間大家に伴走し場づくりを形にしてきました。2024年6月にマザーハウス、石場建の小屋、2025年6月には長屋棟、2026年6月に小屋2が竣工しました。
日々成長するコミュニティや生態系、天候、近隣住民の声など、着工後も変化し続ける外的環境を受け止め、その都度対話を重ねて計画を柔軟に更新。建築家が自律的に「つくった」のではなく、この土地の環境によって自ずと「できた」建築です。
長屋棟「巡る」は、子育て世代が暮らしの一部をシェアしながら、ほどよいつながりを育める場として構想された長屋形式の賃貸シェアハウスです。マザーハウスと連携し、子どもたちが心豊かに成⾧できる場所づくりを大事なテーマとしています。https://bioform.jp/m-piece/ohkuranagaya

「マザーハウス」は、まちのお母さん的存在の方が住まい、1階のキッチンスペースは、まちの人や子どもたちが集える場所であり、また隣接する小屋の住民も使えるシェアスペースとして機能し、2階は住人のプライベートスペースです。
「小屋」は、「マザーハウス」や「長屋棟」の広いキッチンやお風呂をシェアできることで、小屋の機能を最小化。緑地を残して小さくつくることは、コストや環境負荷を抑えるだけでなく、相互扶助を育む暮らし方の再編にもつながります。目の前に広がる畑で野菜を育て、皆と共に食事ができ、狭小アパートと同じ部屋面積でも豊かな暮らしができるように計画しました。また、世代に合わせて将来の撤退や復元が容易に可能なように、なるべ移動可能で土地を傷めない構法を試行錯誤しました。
マザーハウス・小屋: https://bioform.jp/m-piece/motherhousu-koya
小屋2:https://bioform.jp/m-piece/https-bioform-jp-m-piece-ohkurakoya2

プロジェクトのはじまり
都市計画道路施設により土地が二つに分断されることを発端に始まりました。もともとは大家さんの実家、賃貸アパートと畑があり、野菜販売をしたり正月祝いをしたりとまちの人が集う場所でした。建物は解体され更地となりましたが、まちの人が集ったこの場所の記憶を未来につなぐ暮らしの場、ちょっとした集落をつくるプロジェクトとして、スタートしました。



二分された敷地には“100年後も残る風景”をコンセプトとした「長屋プロジェクト」と、“世代に合わせて変化する風景”をコンセプトとした「小屋プロジェクト」がスタートし、これからのまちの風景をつくっていくことを目指して設計が進みます。
「長屋プロジェクト」
長屋プロジェクトは、子育て世代向けの賃貸シェアハウスです。子育て世代が暮らしをシェアし、まちとのつながりを持つことで、いろいろな大人がいる豊かな環境で子どもたちが成長できる場所を目指します。建築は、1層目がコモンスペース、その上に長屋形式の住宅3世帯分が乗る構成です。各住戸は、玄関は分かれていますが、コモンスペースへ直接アクセスできるため、住民同士が距離感を保ちつつ、つながる暮らしができるように工夫しています。 またコモンスペースは道路に面して大きく開かれ、まちに賑わいが溢れ出すように計画しています。屋根にある風棟は、3層分つながる階段室となっており、人の動線であると共に、光・風・熱が動く環境装置としても機能します。

「小屋プロジェクト」
小屋プロジェクトは、「マザーハウス」と、単身者向け「小屋型の賃貸住宅」と畑スペースで構成されます。「マザーハウス」には、まちのお母さん的存在の方が住まい、1階のキッチンスペースは、まちの人や子どもたちが集える場所となる計画です。また、共有のトイレや風呂を設け、小屋側の住民も使えるシェアスペースとしても機能します。
「マザーハウス」の広いキッチンやお風呂をシェアできることで、「小屋型の賃貸住宅」は最小限のスペースにしています。目の前に広がる畑で野菜を育て、皆と共に食事ができ、狭小アパートと同じ部屋面積でも豊かな暮らしができるように計画進行中です。
小屋プロジェクトには、土地を傷めず後々撤退しやすい小さなつくり方というテーマがあります。そのテーマに対して、小屋型賃貸住宅では、簡単に建築・修繕ができ、移動可能で土地を傷めない構法の一つ推して、石場建てとしました。23年3月11,12日に、石場立ての地固めを、ヨイトマケにて行いました。石場立ては、建物の基礎を石でつくる伝統的な構法で、大地をコンクリートで塞いでしまわないため、環境への負荷も少ない方法です。100キロほどの重りを数え唄を歌いながら、みんなで引いて地固めしていく作業と、おいしいごはんをみんなで共にする風景は、建築をつくるということを改めて考えさせてくれる貴重な機会となりました。杢巧舎さんのご指導のもと、2日間で100人近い方々にご参加いただき、無事ヨイトマケ作業を完工できました。※杢巧舎 http://mokkohsha.jp/


また、小屋実作にあたり、その実寸モックアップを、墨付けから刻み、建て方までスタッフにてセルフビルド中です。作りながら、柱や梁の寸法やディテールを検証、調整し、実作に生かします。

2026年春には、「住みかを作る 自然とつながる家づくりの学校」と連動して、建設過程をワークショップ形式で行いながら、2棟目の小屋型賃貸住宅が竣工予定です。「時代に合わせて変化する風景」を見据えつつ、時間をかけてまちの風景をつくっていくことを目指しています。
「住みかを作る 自然とつながる家づくりの学校」https://bioform.jp/project/sumikawotukuru

note「三年鳴かず飛ばず」https://note.com/okura_pj