数百名が参加した1年半に及ぶ「現代の結」の家づくり
世田谷区大蔵で進行中の「三年鳴かず飛ばず」プロジェクトと連携し、2025年1月から2026年5月までの16か月、全9回にわたり、「住みかをつくる〜自然とつながる家づくりの学校」をシリーズで展開し、2026年6月には小屋が完成しました。
住みかには動物の巣という意が含まれています。
動物は身の周りから資源を収穫し、生息環境に合わせたほどよい居住スペースをつくります。
少し前までは、私たちの家づくりも、地域の木や土を使い、その場所の気候風土を感じとり、住民たちの結によりつくられてきました。地域の自然は資源であり、暮らしの営みは風景となっていました。
「住みかをつくる〜自然とつながる家づくりの学校」では、木・竹・土といった身近な自然資源を用い、伝統的構法にて小屋ができていく過程を体験することで、ブラックボックス化した住宅の構造を紐解き、日常と自然がひとつながりとなる暮らし方について考えていきます。
かつての日本の民家は、身近な素材と地域住民が助け合う「結(ゆい)」によってつくられ、その営みそのものが豊かな風景を形作っていました。本プロジェクトは、いわば「現代の結」のプロトタイプともいえ、専門家から地域住民まで数百名の参加者が交ざり合い、自らの手で家をつくるプロセスは、私たちと環境とのつながりを捉え直す豊かな経験ときっかけをもたらしてくれました。
【各回の様子】

Vol0.木の伐採 2025.01.11
小屋に使う木材の産地、埼玉県飯能市の山を訪ね、伐採現場、製材所、貯木場を見学し話を伺いました。山の樹木が木材になる過程や時間サイクルなど、家づくりの裏側にある営みを学びました。

Vol1.竹の伐採・小舞竹 2025.02.22
現場近郊の宅地の竹林から真竹を伐採し、伝統的な方法で土壁の下地となる小舞竹を製作しました。かつて民家には竹林があり、竹が暮らしの道具に使われていたことを実感しました。

Vol2.雑木林の散策と植生観察 2025.04.19
敷地そばの国分寺崖線の森を散策。そこで見つけたどんぐりの実生を持ち帰り、竹でつくった手作り鉢に植え替えました。森と暮らしの境界線を見つめ直し、雑木林の仕組みや豊かさを全身で体感しました。

Vol3.畳を語る ふたりの手(い草 稲わら本畳)
小屋に敷く畳を仕立ててくれる畳屋を見学。国産の本藁床、イ草の畳にこだわる親子お二人の畳職人から畳の仕立て方や道具、材料の生産背景についてうかがいました。熱意あるお話から畳の奥深さや魅力に触れた1日でした。

Vol4.だるま窯 いぶし瓦 2025.10.04
だるま窯の伝統的な瓦造づくりを続ける瓦職人の工房を見学。地元の土と水を練り、焼き上げる工程をすべて手作業で行われてます。職人さんの瓦成形の実演を見学するなど、伝統知を学びました。

Vol5.土を仕込む 2025.11.03
稲わらを裁断し、荒木田土と水を加えて足で練り、土壁の土を仕込みました。地域の藁も一部使用。食と家づくりのつながりを感じるよい機会となりました。この後3カ月養生し発酵を待ちます。

Vol.6小舞竹を編む 2026.01.24-25
Vol.1で製作した小舞竹を、皆で貫構造の軸組に編み込みまし。夕暮れ時、編みあがった竹小舞から透けた光を見て、家をつくる過程の美しさを感じました。

Vol.7土を塗る 2026.02.07-08
Vol.6で編んだ竹小舞に、Vol.5で仕込んだ土を塗りつけて土壁づくり。発酵した土の匂いや感触を五感で感じながら作業しました。伝統的な貫構造・土壁の仕組みについても解説しました。

Vol.8「枝絡を組む」2026.05.16
斜面地に、杭と枝を編みこんだ雨水浸透するしがらをつくりました。材料は、敷地に自生した桑の木の剪定枝。暮らしで発生する自然物を資源に継続的に更新する予定です。

最終回 小屋の完成見学会 2026.06.05-07
竣工にあわせて、小屋の完成見学会と「すみかをつくる展」を同時開催。これまで1年半の歩みを写真展や書籍にまとめ、小屋の内部やアプロ―チを会場として公開。
写真:真島一樹(日本デザインセンター)
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