「ちっちゃい辻堂」@神奈川県藤沢市

神奈川県藤沢市辻堂。昨今、辻堂駅の北側は再開発が進み、高層タワーマンションや大型商業施設が立ち並ぶなど一気に様変わりしています。
翻って駅の南側に歩いてほどなく、海風も感じられ昔ながらの個人商店や田畑、空き地など素朴な景観が残る辻堂元町の一角に、「ちっちゃい辻堂」プロジェクトが進行中です。紐解けば、このプロジェクトの始まりは2018年。土地のオーナー様よりご相談いただいたのがきっかけでした。
「100年先の辻堂を想像して、その最小単位をつくる」という構想をもとに、4棟の戸建が寄り添う「ちっちゃい辻堂 久根下」と、3住居が隣人と連なる「ちっちゃい辻堂 出口」が完成、現在は「ちっちゃい出口part2」が進行中です。

「ちっちゃい辻堂 久根下」
3棟の平屋と2階建て1棟が寄せ集まり、その中心にはコモンスペースがあります。それぞれの建物がコモンスペースへ向かって開かれており、住まう方々が適度な距離感を保ちつつ、お互いの暮らしが垣間見え自然と声を掛け合えるような関係が生まれる暮らしの場を目指しています。

2018年 久根下現地(着工前)
久根下模型

各住戸とも、コモンスペース側に玄関・キッチン・外にもつながる広めの土間をプランニングしています。家庭菜園で育てた野菜をそのまま持ち込めたり、キッチン越しにコモンスペースで遊ぶ子供を見守れたりと使い方は様々に想像されますが、どう使うかは住まいてに委ねられるよう、作りすぎない余白を残した計画としています。

コモンスペース、菜園

また、設計段階では、1日の日照がどのように移り変わり、季節により日の差し込み具合がどのように変化するか。各棟の影響による日影がどのように1日を通して移り変わるか、ということをシミュレーションし、軒の出の寸法や、他の平屋へ影をできるだけ落とさないよう屋根形状を検討する等も行いました。

久根下日影検討

23年6月「ちっちゃい辻堂 久根下」の4棟が竣工しました。https://bioform.jp/m-piece/tsujidou1

「ちっちゃい辻堂 出口」
出口は久根下から歩いてすぐの場所で、3住戸の長屋を計画しています。2住戸は2階建て、1住戸は平屋です。出口の特徴は南北に通り抜ける通路のような通り土間が住戸を貫いて計画されており、北側の玄関、キッチンと土間、菜園に面した南側の勝手口と庭を回遊でき、風の通り道にもなっています。長屋は戸建ての良さと共同住宅の良さを兼ね合わせたような住まいなので、独立性を保ちつつも軒先で隣人と連なっているという自然に挨拶をかわしたくなるような距離感もあります。菜園や庭先を共有することによりここで生まれる関係性が楽しみです。

出口現地
出口模型

2024年4月、建物がほぼできあがったところで外構工事中。外構の肝ともなる微生物塗装を、施主の石井さんとクロマツプロジェクトの岡部さんの指導のもと、WSで行いました。

微生物塗装についてはこちらをご覧ください。※山田貴宏のbio+form考。https://note.com/tyamadabioform/n/n38bd17b38c3e?fbclid=IwY2xjawEgLgBleHRuA2FlbQIxMQABHbfUrQzsH6cJILdY4hKHgN0ldGfgD2fTtBn0VqHbY-WtGnks6C9OarPq1Q_aem_ICaOCsnKndRxhh1hsX2LTg

微生物塗装WS

24年6月「ちっちゃい辻堂 出口」が竣工しました。https://bioform.jp/m-piece/tsujidou2

南側外観
アプローチは大小のステージがあり、その間を微生物舗装としている。

オーナーの石井光さんとお仲間の想いがつまったコンセプトブック「ちっちゃい辻堂のつくりかた」 下記noteからダウンロードもできます。

辻堂プロジェクトオーナーのnote:ちっちゃい辻堂|note

主催者の石井光さんが、greenz.jpの取材を受けて掲載された記事です。(2023年4月6日)
“経済”ではなく“いのち”を真ん中に、まちを100年先へとつないでいく。藤沢市辻堂の地主・石井光さんが「ちっちゃい辻堂」で入居者と育みたい、小さな安心を積み重ねる賃貸暮らしとは。https://greenz.jp/2023/04/05/chicchaitsujido/?fbclid=IwAR1wlRAWUxLRiQRSqyrXQn5VX65u8KOwI4jJY0YY0F0DSgtYQZBhR1OFZas