約3000㎡の敷地に計画されている市民農園に隣接する農園レストランです。
現況は田んぼとして利用されている農地の一部を、地目変更と建築許可申請を行い、地域住民へのサービス用途としてレストランを運用する想定で、農園とレストランが隣同士にある複合的な施設となります。周囲は農地に囲まれたロケーションとなるため、農園の風景に適した建築のあり方を模索しました。

農園レストランの架構は、木造の農業ハウスの仕立て方を踏襲し、木製のトラス架構フレームが連続する形式として、隣接する農業ハウスとも親和性のある風情を目指しています。また、床仕上げとして煉瓦を採用。屋根仕上げとして和瓦を採用する予定で、これらは計画地の三河地域で伝統的に生産されている素材を有効に活用したい点と、日本建築が伝統的に利用してきた、自然素材である【土】を原材料としている素材を選定することで、サーキュラーエコノミーの観点も重視したい点があります。


屋根の架構はシンプルな切り妻ですが、二種類の勾配を用いることで、頂部に採光や重力換気を促す環境装置としても機能する様に検討を行い、意匠・構造・設備計画が連動した空間作りを目指しています。
内部の厨房や水回りの空間は、このおおらかな架構でできた空間の中に、構造とは縁を切った箱型のものを置いた風情として、構造と機能を分離しています。これは将来の可変性への対応であり、施設の不動産的価値を長引かせる方法論でもあります。
機能が直接的に表れてくる農業施設や工業施設特有の、シンプルでありながら、力強い骨格が感じ取れる意匠とし、農園の風景に適した建築のあり方のひとつの案として、計画をまとめています。
