神奈川県藤野町。この地に広がる里山の風景になじみ、集落感のある風景とすることをコンセプトに、7件が連なる住宅プロジェクト。2022年9月に7棟目が竣工しひと段落となりました。
建物のプロポーションを低く保ち、里山と田園の風景に馴染むことを共通のルールにしました。どの棟もすべて地元の木で建てられ、自然素材を主体とした地産地消の家づくりです。全体的に低層の屋根とし、屋根勾配をそろえ、外装のデザインも統一感がもてるよう配慮しました。全体の風情をそろえることで、家が風景の一部になる良質な居住環境づくりを目指しています。
農的暮らしができる場として菜園や土間を設け、台所や食品庫との回遊に配慮した設計としています。土間は太陽熱の蓄熱にも一役かい、またそよ風システムや薪ストーブの採用で、化石燃料にたよらず、かつ地元の山の資源を活用するエネルギーの地産地消も目指しています。
藤野/連の家1
住まい手は農的な暮らしを指向されており、菜園との連続性を考慮し、南側に大きな土間を配置しました。ここは作業の空間であるとともに、玄関でもあり、太陽熱のダイレクトゲインの場所でもあります。冬はここで太陽熱を蓄熱することで、夕方以降の寒さに備えることができます。
藤野/連の家2
居間と個室が2部屋のシンプルな構成。部屋同士は可変できるよう、建具で仕切ったり、壁が容易に壊せることができるようにしています。ペレットストーブを備を設置。薪も兼用でき、またゼンマイ仕掛けのため停電しても機能するもので、災害時にも対応できます。
藤野/連の家3
居間、寝室、ロフトが間仕切り無くつながり、小さいながらも暮らしに必要な空間が無駄なくつまっています。屋根裏にロフト状の二階を設け一階とともに大きなワンルームとして、融通無碍な使い方ができるようにしています。
藤野/連の家4
木組みの構造、自然素材の内外装でしつらえ、外装には防虫、防腐効果のある焼き杉板を使用し、自然の風景になじむ風情となっています。
庭で菜園を営むことにあわせた回遊動線としました。太陽のエネルギーを暖房に活用する「そよ風」システムやパッシブデザイン、薪ストーブの採用でエネルギーの地産地消と、化石エネルギーに頼らない暖房を実現しています。
藤野/連の家5
広い土間と連続、一体となった、ほとんど間仕切りがない居住空間をシンプルでおおらかな切妻屋根が覆う構成。
先行する四つの連の家にはなかった総横下見板張りで、一帯の風景を損なうことなく新しい表情と変化を加えることができました。
藤野/連の家6
プライベート空間を確保しながら、家族が団欒できる大きな居間を配置した平屋建てです。
各個室の壁の上部を欄間とし、居間に配置した大きな開口から室内を風が通り抜けるよう計画しました。キッチン越しに開けた窓からは、遠く連なる山並みを眺望し、各所に設けた天窓からはふんだんに自然光がはいります。
光や風、土と緑とともにあるおすまいとなりました。